恋を忘れたカナリア 4

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2008年7月9日

Oさんが次にステラに現れた時は、

かなりやつれた様子でした。

社内の他の女性社員とOさんの

好きな彼との間に、

噂があるというのです。

真偽の程はわからないけれど、

確かにその二人は、見た目も雰囲気も年頃も、

お似合いのカップルに見える、ということです。

 

Oさんは、噂ごときに振り回され、

嫉妬に苦しんでいる自分が嫌でたまらない、

とおっしゃいます。

 

そこへ丁度、

少し前に会社を立ち上げたお友達から、

忙しくなって来たのでぜひ手伝って欲しい、

というお誘いがあったそうです。

いつものOさんなら、新しい話に

直ぐに飛びついたりはしないのですが、

毎日「お似合いの二人」を見ながら

仕事をしているのがあまりにも辛いので、

考えてみようと思っているがどうしよう、

というご相談でした。

お仕事の方は、移って良し、と出ます。

Oさんは、このまま一日も早く会社を移りたい、

とおっしゃいます。

私が「噂が本当かどうか、

確かめずに転職して良いのですか?」と言うと、

「本当だった時に二度と立ち直れません」・・・と。

 

結局Oさんは、噂も、彼の気持ちも確かめること無く、

「良い先輩」の笑顔のままで会社を移って行きました。
 

新しい職場では、

全ての事をお友達と二人で相談して決め、

二人で頑張って仕事を進めて行きます。

Oさんは、今までに経験したことのない充実感を覚え、

睡眠時間が減っても、前より元気です。

気がつくと前の職場の彼のことは、

殆ど気にならなくなっていました。

 

つづく