Mちゃんの給食の前の授業は、音楽でした。
ドナ・ドナという歌を習い、
先生が歌詞の意味を説明してくださいました。
市場へ引かれて行く、子牛の歌です。
その時Mちゃんは、
これまで食卓に上ったお肉に、
みな命があり、お母さんがいて兄弟がいて、
感情も意志もあったことに、
気付いてしまったのです。
何も知らずに食べてしまった、
そのことに深いショックを受けたのでした。
家に帰ってお母さんに話しましたが、
お母さんは笑って言いました。
「あなたはほかの生き物たちの
大切な命を頂いて生きているのよ、
だから感謝して一生懸命生きない」
Mちゃんは、納得できませんでした。
お父さんは、お母さんより
話が分からないと思っていたので、
お父さんには何も話しませんでした。
この後、Mちゃんは、
お肉を食べられなくなりました。
「出されたものをちゃんと食べなさい!」
と、お父さんがいつも怒ります。
Mちゃんはその都度、
とても苦しい想いをしました。
一度は、お父さんに無理矢理
口の中にお肉を入れられ、
戻してしまいました。
この後Mちゃんは、
お父さんと同じ食卓に着くことができなくなり、
お母さんはMちゃんに
お肉以外のお料理を出すようになりました。
つづく